勅使川原三郎、令和4年度文化功労者に選出

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10月25日、令和4年度の文化功労者として勅使川原三郎が選出されたことが発表されました。
文化功労者は、日本において、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者に送られる称号です。選出に際し、報道陣の取材に応じた勅使川原の言葉をお届けします。
冒頭、「選ばれたことはとてもありがたいこと、身の引き締まる思いです。
同時に、私個人というよりはむしろ私の職業、今まで行ってきたことに対してのことであるならば、まず、これまで関わってくれた仲間、支援、激励してくださった方々、そして教えをくださった方々に感謝したいと思います」と挨拶した勅使川原。
また、「私の仕事は創作することです。それはある意味では謎であり、基礎的な技術がなければならない。
その技術を学ぶ機会を得たことに感謝しています。私がダンスを創りたいということは、まず身体があるということ、思いや心がある、ということ。ですが、それだけでは創作はできません。
周りの環境世界、他者、困難を乗り越える力がなければ、私に考える機会が与えられることはありません。
充足しない自分の中にあるもどかしさが、創作への最も強い力になっているのです」と創作への思いを述べました。
さらに、「身体は抽象的なことを描くことが多いですが、身体なしに精神もありませんし心もありません。
その意味では私自身は自分を見つけるためではなく、自分が何を感じることができる人間であるかということを探ることによって、世界や見果てぬもの、未知なるものを知る興味をわかせてくれるものだと思っています」とも。「知らないことと出会うこと、そして仲間、見知らぬ人たち、他者と喜びを分かち合い、共感することがあったら、それほど面白いことはないと思っています。
この機会は自分にとってまた新たな興味を抱くきっかけになる──。おこがましくも私は、今回のことをそのように捉えることができると思っています」と、胸の内を明かしました。
 
【photo by Akihito Abe】_ABI1102のコピー
 
ダンサー、振付家、演出家としての長きにわたる活動、今後の創作についても、
「1枚の紙を半分に折って開いてみると、紙の真ん中に折り目がついていますね。
その半分の側が今までの自分だとすると、その始まりは最も自分の不得意な事への挑戦でした。それが最も自分を活かす方法となり多くの仕事を経験できた表現者としての50年でした。
そして紙の反対側の余白の部分は、これからの人生。今年になって強く感じていたことは、折り目の反対側に私は今、新たな一歩を踏み出す、ということ。これからますます、大いに創作をやっていこうと思っています」と意欲を見せていました。
なお、文化功労者の顕彰式は11月に開催されますが、勅使川原とアーティスティック・コラボレーターの佐東利穂子は11月上旬よりイタリア6都市をめぐるツアーに出発、各地で「トリスタンとイゾルデ」『ロスト・イン・ダンス』、『アダージョ』などの作品を上演する。
 
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photo by Akihito Abe, Hiroshi Noguchi(Flower)

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