ダイドとエネアス
ーパーセル作曲ー
作曲:ヘンリー・パーセル
演出/振付/美術/照明/衣装: 勅使川原三郎
指揮 : アッティリオ・クレモネージ
初演 : フェニーチェ歌劇場(イタリア) 2010年
上演時間:80分
演出/振付/美術/照明/衣装: 勅使川原三郎
指揮 : アッティリオ・クレモネージ
初演 : フェニーチェ歌劇場(イタリア) 2010年
上演時間:80分
作品に寄せて
ダイド アンド エネアス
内面的苦しみと内面的安らぎ
外面的安らぎと外面的静けさ
女の苦しみなど気にしない男
憂いという暗黒が
死という運命と晴れ渡る青空のような心を覆い隠す
時として政治的男が起こす
装いの同情が国家権力の基礎にもなる
狂気にさえ至らぬ死によってつくられた伝説的物語を
我々は現実的に再現する
歴史はそれが起こる以前に既に起こったかのように刻印されている
そのように人間が自分を見るならば物語は動き始めるだろう
逆にそのように考えないとしたら
人間は半歴史的な詩を未来から紡ぎだすだろう
音楽という時間的空間の中で人間はまるで影のように
光を飲み込み
光の中に浮遊し
光に身体を失い
人間それぞれは
その身体から発した声をまとい
声とともに身体は光を再構成し
内面的空間を生まん
彼らは闇
見えない闇
闇は闇を飲み込み
死は安らぎとの引き換えに苦しみを奪う
勅使川原三郎
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