Works / 活動紹介

消息

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振付/照明/音響/衣装:勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎、宮田佳、佐東利穂子、他
照明技術:清水裕樹(ハロ)
音響技術:黒野尚
舞台監督:柴崎大
舞台美術アシスタント:伊藤俊
初演:2007年9月29日 新国立劇場 小劇場
主催:新国立劇場
上演時間:70分
「消」は陰気が消えること。
「息」は陽気が生じること。
消えては現れ、現れては消える
身体の中に沸きつづける「質感」。
生まれつづける「質感」。
身体が在るぎりぎりの身体、
生と死の持続。
ギャラリー
レビュー(抜粋)
2007年10月23日 朝日新聞   佐々木涼子氏
とぎすまされた動と静
だが目を見張ったのは佐東利穂子のダンスだ。目にもとらえがたい速さなのに、すばらしく精緻で狂いがなく、全体が見事に調和している。こんなにも動けるということ自体が、無垢な感動を呼び起こした。
 それに続く勅使川原のソロは体の関節も動きの分節も消えてしまって、まるで穏やかな流水に揺れる藻さながら。あくまで冴えた意識で神経を磨き上げたその極限の、意識さえ消滅した純な境地とでも言おうか。
 振り付け・美術・照明・音響・衣装の一切を勅使川原が担当した舞台は、ダンサーの個性を生かしつつも隅々まで均一な美意識に貫かれ、高い完成度に達していた。
「詩的で微妙な感覚を踊りの形で表現」2007年10月19日 公明新聞   今野裕一氏
『消息』は、詩を受け止めるような気持ちで見ていると、すっと見ている私たちに感覚が伝わってくる。
 ものごとのはじまりである感覚とか、生命感とか、そして『消息』とか。。。感覚を研ぎ澄まして自分の身体を見つめていないと分からないような、微妙な感覚を、勅使川原三郎は踊りの形にしている。
。。。芸術家は年齢を経ると得てして守りに入るものだ。しかし勅使川原三郎の最近の舞台は、若い頃にまして挑戦的、実験的だ。その姿勢がまさに彼が世界の前衛の現役であることを物語っている。
「無垢な魂の共鳴感じた対の踊り」週間 オンステージ新聞 池野恵氏
暗闇の中に現れては消えるからだーそれは、過去と未来を繋ぐ生命体そのものの発する光でもある。何の束縛も感じさせないゆるやかな、それでいてストイックな勅使川原の身体の軌跡は見事としか言いようがなく、黒一色の舞台に唯一肌色の皮膚をさらす佐東利穂子の、マネキンのような硬直した身体から生まれる抑制された動きとともに、一対をなして独自の世界を表わし、そこには無垢な魂の共鳴が感じられた。
。。。宮田佳の何ごとにも動じない存在感は、この小宇宙の中心であることと同時に母性をも思い起こさせる。小柄な川村美恵、長身のジイフ、透明感のある吉田梓、と個性豊かなメンバーが入れ替わり立ち替わり現れては消える舞台は、心地よい闇の中から生まれ、消滅し、再生するという輪廻を感じさせた。終盤、金属棒を手にした勅使川原と佐東が相打ち果てる。悲鳴にも似た無機質な音が空間を切り裂き、継続した時間を断つ。世界を終焉させる一撃まで、勅使川原の美意識が貫かれた作品であった。