Works / 活動紹介

SKINNERS
-揮発するものに捧げる

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演出/振付/美術/照明/衣装:勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里、高木花文、加藤梨花
上演時間:75分
初演:2010年11月27日 東京芸術劇場中ホール
製作:KARAS
共同製作 / 主催:フェスティバル・トーキョー
公演記録:
2011年兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2011年まつもと市民芸術館 実験劇場
2012年モンペリエ(仏)
2013年ブレゲンツ(墺)
音x光x身体 世界の「皮」が剥がれる時

1986年にヨーロッパでデビューし一躍世界にその名を馳せて以来25年、比類のない美意識とフィロソフィーで世界のダンスシーンを牽引し続ける勅使川原三郎。本作は、現代音楽家のリゲティのピアノ曲とオルガン曲、ノイズサウンドを核としている。超絶技巧を要し、ピアノ音楽の限界を打ち破ったとされる「ピアノのためのエチュード」と、聴く者を一挙に異空間へ連れ去るノイズサウンドが交錯するなか、研ぎ澄まされた身体が「皮を剥がされ、時間や空間、重力や意味が揮発する世界」へと観客を導く。そこに待つのは単なるダンスではない、スリリングな芸術体験だ。
勅使川原三郎の極限まで研ぎ澄まされたダンス、自ら手がけるインスタレーションや照明はもちろん、繊細さと強靭さを高速度に行き交い変容する佐東利穂子の驚くべきダンス。さらには「空気のダンス」(08年)以降、勅使川原が育成に力を注いできた若いダンサーたちに注目が集まる。質感を自在に操る究極の身体制御が展開する。

ギャラリー
レビュー(抜粋)
産経新聞2010/12/4 岡見さえ氏
光、音楽、動きが波動となって伝わり、意味を含む動きや表情を排したダンスが、観客の言葉になる以前の感覚を刺激する。そして観客は、身体を包む薄い皮膚の内側に息づく生命、「常温では揮発する」不可視の悠久の時間の記憶を知覚するのだ。勅使川原の作品を見た後、人はもはや同じ方法で世界を見ることがないのである。
公明新聞2010/12/10 今野裕一氏
身体を覆っている皮膚の下では、音が先なのか、身体の振動が先なのか、シンクロしているのかそれすらも分らない。身体の内部から音の粒子が皮膚を破って放射されていく瞬間がある。しかもそれは以前なら光の粒子のように繊細であったのだが、身体を揺るがせ、壊してしまうかもしれないほどの激しさももっている。音の粒子と純粋に正直に身体が向き合っている。(中略)  勅使川原三郎は、すべての比喩を排除して要素や原理そのものを踊ろう、あるいはそのものと交感しようとしている。
ダンスマガジン2011年 3月号 貫成人氏
不協和であるがゆえにぶつかりあうように聞こえる和音同士のあいだに生じる“うねり”を、佐東の変幻自在な身体が細かく蠕動しながらしっかり受け止める。メロディやリズムを作ることなく空気を刻むピアノの音に、勅使川原の左右の腕や脚、上体が完全に連動し、それぞれ別個の生命体であるかのように高速で振動しながら空間を切り裂いていく。(中略)  空間や音とダンサーの動きが連動し、やがてすべてが一緒になって生成する、純粋な情感に満ちた世界。ダンサーの身体が劇場全体を振動させ、観客にまでその力をおよぼすこの作品は、フェスティバル・トーキョー2010の掉尾を飾るにふさわしい、圧倒的な舞台であった。