時々日記
2024.12.02
久しぶりの時々日記、時々というか、久々日記だろと言われても仕方なし。
アップデートダンスの新作「ベートーヴェン、神様とにらめっこ」の稽古
はつづいていたが、スイスから現在フリーの女性ダンサー、オフィーリア
ヤングが昨日から参加。今年初めにバーゼルバレエに振り付けた2作品で
素晴らしいダンスをした彼女は心身ともに充実している。短期間集中で成
果を出せると私が見越しての出演である。彼女は以前ピナ バウシュのカン
パニーに所属の時、一度来日しているが、今回はより彼女の魅力が発揮す
る機会として、意気込みは以前の比ではない。
必ず、佐東利穂子と良いコンビネーションを築き、私とも最良のデュオ、
トリオ、ますます強度を増して創作は進みます。
明日もその先の日々に乞うご期待。
勅使川原三郎
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時々日記
2024.10.20
昨日は6回目「エクリプス」
新たな喜びを共有する公演、日々の研鑽あるのみ。
昨日から今日に、今日の今から一瞬先に身を投じる決意、
技術と意志、一瞬の積み重ねが百に千に万に限りなく重
なる今に生きること。
まだ見ぬ、触れぬ、聴かぬ、感じぬ、思わぬ、考えぬ、
まだ踊らぬ今に向かう、そして踊る。
永遠なる現在に生きる。
今日は「エクリプス」の7回目。
勅使川原三郎
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時々日記
2024.09.23
今日から秋かと期待する。
雨の多い涼しい夏だと米や野菜の収穫がおちるから、
適度に雨が降り晴れの日がつづいた今年の夏は良かっ
たのだ、きっと。本当のことはわからないが。
暑く息苦しかった季節と別れて、ようやく秋である。
待ちに待った肌寒い秋。
アパラタスのアップデートシリーズ#105「変身」の
最終8回目の公演がある。
日々少しずつ成長した公演が終わり、ひとつの季節が
入れ替わる。
今年の秋、新たな空。
ST
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時々日記
2024.09.17
昨日は「変身」の3日目。
作品の中の奥深くに入り込んで行くような公演だった。
作品を踊ったというより、公演が日々身体化していく
のを実感したといえる。
まさに表現というより現象が現れいでたと感じる。
身体が感じる作品が公演なのだ。実感以外にはありえ
ない、微かに起きた明らかな実態だ。
今日は4日目、新たな時、古き身体が変容する出現。
古き無形の物が、今、現れる消えゆく形。
これこそが新作創作の意義。
ST
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時々日記
2024.09.16
アップデート#105「変身」の3日目、初日から流れ出した黒い液状ダンス原作はカフカだが、固定概念の小説解釈とは全く異なる作品。独特の世界
通常のダンスではないが、逆にダンスの強度が現れた、想像力の強度を高め人間身体の存在を問う。
わずかな灯り、希薄な身体、微かな動き、些細な変化の連なり、人体の人間と人体ではない人間が拮抗する、闇の内側と外側
枠の中、内側からの、内側への求心力、開放を人間がどう持ちうるのか
カフカが書いた小説はどんづまりの限界から何を照射しようとしていたのか
私は何かを受け取った、確かに、だが何か判明しない。それがカフカなのだ
私の勘違いなら、なおさら興味は尽きない、ダンスと共に謎は深まるばかり
ST
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時々日記
2024.09.10
土曜日初日の「変身」の照明仕込みと稽古。
音楽構成は60分すでに作ってある。最終的に照明と音楽、それに身体登場と動きを合わせるのは明日になる。照明ができあがるまでやるつもり。
身体を丁寧に制御し内容を許容できる状態にもっていく。
この作品からなにが見えてくるか、創作過程こそ大事だ。
今年すでに創作したこの半年で特に追求していること、「人間のように」「砂漠の声」「ナイトアンドデイ」という作品がもつ強度あるなにか、求めつづけてきた共通のなにかを「変身」でも深く探っていく。
楽しみだ。そして内面と現われ出るなにか、その独特の力と美を発見したいと思っている。
ST
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時々日記
2024.08.31
線を描いていると動きが現れ、形が現れてくる。
日々、ドローイング。
引く線に終わりはない軽さと深さ、大きさと速さ、集合と拡散、、、
が紙面を走り、紙の表面から離れては浮かび、飛んでいく。
5秒前に描かれた古い線でなくなり、命の予期せぬ勢いに乗ると、
私自身から遠くへ、遥か遠くへ行ってしまう。
そして戻ってきて、また離れる。そういう不可解が私と線との距離。
私は線の観察者。
ST
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時々日記
2024.08.12
今日は「ナイト アンド デイ」、最終8回目の公演。
日々が新たな出会いと発見の連続、充実したダンス、うれしいパフォーマンスがつづいている。
不可思議と明快な動き、ダンスの創作の奥底に、果ての果てに向かう公演の連なり。
開かれて飛び跳ねる。
恐怖して楽しむ。
普遍と不変。
清浄、混乱、リズミカルな、
不協和音と調和が止まらない。
新たな「時」の誕生。
ラスト「ナイト アンド デイ」。
ST
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時々日記
2024.08.11
新作「ナイト アンド デイ」の7回目。
長い時を経た後の今日
もうすでにここに無い出来事
毎日
無数の曲線を直進する日々
必ず
出会う初めてのRと初めてのS
そして
第3、第4、第5のダンサー
現れては消えて溶けて現れ消え
時は常に一粒
呼吸が乱れ重なる
感情より微かな何かのみつづく
無くなる夜と昼の跡に来る
一瞬
ST
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時々日記
2024.08.06
「ナイト アンド デイ」は、3日目だった。今日も新たな出会いと発見が溢れるダンス的体験だった。
アップデートダンスを継続して8回ずつ公演する意義がそこにある。
日々、本番の舞台上には、まるで深い森で出くわす「時」や「うごめき」がある。
不可思議な空気の「揺れ」は常に身体の周りに強弱をつけて動く。第3、第4のダンサーのように私たちと関わる。
それらは元々は我が体内から生まれ出た心のうねりか妖怪めいた幻、幻影なのかもしれない。
今日は今日の見知らぬ「ものたち」と出会い、もて遊ばれもて遊ぶのだろう。
ST
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時々日記
2024.08.05
昨日の2日目の「ナイト アンド デイ」は、新鮮なダンス的体験だった。
上演以前に用意して臨んだ公演には、新たな発見があるものだが、出会いといえるような「時」や「うごめき」があった。空気の「揺れ」は常に身体の周りにまるで出演している第3、第4のダンサーのように私たちと関わる。
今日も新たな、また再会があるのかもしれない。
それも含めてアップデートダンスなのだろう。
ST
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時々日記
2024.08.04
新作「ナイト アンド デイ」の初日。
とても充実した作品ができた。
急展開する変化とゆるやかな進行のかけ合わせ。舞台に新たな奥行きを掘り出す。
心と身体の内側と外側がめくれ返すように、
夜と昼が裏返しになる。
ダンスへの挨拶と闘いを挑む。
作品が隠れた表面を提示する。
今日は2日目、作品は成長する。
ST
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時々日記
2024.08.01
明後日、新作「ナイト アンド デイ」公演初日
作品はどうなるだろう
以下は昨日の稽古風景
1 ゆるやかに最小限度のエネルギーで全身を溶かし運ぶ
2 毎日変わらない紆余曲折、波乱万丈、あらゆる4文字熟語が遠のく
全力アクション急ブレーキ限界リピート
3 限界に達する直前のギリギリのギリギリのふちにスポッと立つ
4 空っぽの思考内と体内にうごめく矛盾を閉じこめる
5 無意味と意味を格闘させる
6 ガチガチ矛盾体を溶かす
7 全身全脳の燃えカスだけになる
稽古終了
STとRSは今日も稽古し照明と音楽を作り、何かを湧き上がらせる。
ST
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時々日記
2024.07.19
カッラッと乾いた空がよく動く 色々な生き物が飛んでいる
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今朝の素画の部分
ST
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時々日記
2024.07.17
「ナイト アンド デイ」の稽古とワークショップ
垂直と水平と意思について歩く、かなり度数が高かった
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時々日記
2024.07.16
雨降りが気持ちいいとか嫌だとか
静かに鎮める
思い漂う窓の内側
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佐東利穂子はソロダンスによる、ドビュッシーのオペラ音楽ダンス
佐東の身体と精神が、音楽に溶け、水を湧き立たせ、風を吹かせる
水から誕生し 水へと帰る
澄んだ水のように透明な佐東(メリザンド)は、定めの時に向かう
定められた命の淵へ向かうダンス
音楽によって生を受けた佐東(メリザンド)は、音楽の中に消えてゆく
すでに風となって消えた(ペレアス)
メリザンド(佐東)は、水という生命の源へと帰ってゆく
水から誕生し水へと帰る
愛は、形を身体に変えて踊る音楽になる
メリザンドは、音楽に「生と死」を溶かしてできた「愛の身体」
水から生まれ、死によって水にもどるメリザンド
無力なささやきの風が、水面にさざなみをたてる
風が、微かにメリザンド(佐東)の髪を撫でる
写真は2015年の「ペレアスとメリザンド」より