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#23 初日開幕 勅使川原三郎よりコメント
#22 「羅生門」本日初日の幕があきます
#21 『羅生門』稽古場より
#20 〈掲載情報〉バレエチャンネル
アレクサンドル・リアブコ インタビュー
#19 『羅生門』稽古場より
#18 『羅生門』稽古場より
#17 佐東利穂子よりコメント
#16 「羅生門」稽古場より
#15 〈掲載情報〉朝日新聞
#14 〈掲載情報〉チャコットWEBマガジン 記者会見レポート
#13 〈掲載情報〉読売新聞 勅使川原三郎 インタビュー
#12 宮田まゆみ インタビュー
#11 〈掲載情報〉Time Out Tokyo 佐東利穂子インタビュー
#10 アレクサンドル・リアブコ インタビュー
#9 「羅生門」記者会見レポート
#8 〈掲載情報〉「羅生門」ぶらあぼ8月号
#7 アレクサンドル・リアブコが捉えた、「羅生門」
#6 アレクサンドル・リアブコが語る、振付家・勅使川原三郎
#5 アレクサンドル・リアブコからのメッセージ
#4 アレクサンドル・リアブコが来日
#3 「羅生門」あらすじ公開
#2 ヴァツラフ・クネシュ来日中止のお知らせ
#1 勅使川原三郎コメント
勅使川原三郎よりコメント
勅使川原三郎版『羅生門』は、昨日6日に無事に幕を開けました。
初日のカーテンコールの写真とともに、勅使川原からのコメントが届きました。
舞台は、初日をやってわかることが多い──。
今回もまさにそうでした。
それは、求めていたことの発見でもあり、
気が付かなかったことが、
もっと興味深く感じられるようにもなる。
それで満足かというとそうではなく、
これは、何を求めているかということを
発見する旅でもあります。
初日があけたということは、この作品が船出した、
命を与えられた作品として、明日につながる。
今日もとてもうまくいったと思いますが、
明日はもっとよくしたいですし、
その形はより明解になっていくでしょう。
勅使川原三郎
〈 「羅生門」当日券情報 〉
東京公演の当日券は
各公演開演1時間前より販売予定。
販売場所:東京芸術劇場プレイハウス 入口受付
券種:S席7,000円、A席5,000円
問合せ 03-5858-8189
「羅生門」本日初日の幕があきます
〈 「羅生門」当日券情報 〉
東京公演の当日券は
各公演開演1時間前より販売予定。
販売場所:東京芸術劇場プレイハウス 入口受付
券種:S席7,000円、A席5,000円
問合せ 03-5858-8189
「羅生門」稽古場より
勅使川原三郎版『羅生門』はいよいよ明日、初日の幕が開きます。
劇場でお待ちしております。(写真は愛知で行われたリハーサルより)
〈掲載情報〉バレエチャンネル
アレクサンドル・リアブコ インタビュー
7月末リハーサルの佳境を迎えたアレクサンドル・リアブコのインタビューが
バレエチャンネルにて公開されました。
▶︎【インタビュー】アレクサンドル・リアブコ〜勅使川原三郎「羅生門」が描くもの。それはこの時代を生きる私たちの人生の一部です。
photo by Akihito Abe
「羅生門」稽古場より
勅使川原三郎版『羅生門』開幕まであと2日。
劇場での創作はまだまだ続きます。
(写真は愛知で行われたリハーサルより)
「羅生門」稽古場より
勅使川原三郎版『羅生門』開幕まであと3日。創作の場は劇場へと移り、
いよいよ、『羅生門』の世界が形を見せ始めます。
(稽古写真は愛知で行われたリハーサルより)
『羅生門』の世界を立ち上がらせる重要な要素の一つ、
衣装の調整も進んでいます。写真はそのごく一部。
佐東利穂子よりコメント
昨日、『羅生門』出演者、スタッフ一同が劇場入り。
作品づくりの最終段階に入ったアーティスティックコラボレーター
佐東利穂子から、コメントが届きました。
仕込み初日、まだ我々ダンサーは舞台には乗れませんが、袖に稽古場を
作ってもらって舞台仕込みの様子を横目で見ながら準備しています。
装置や衣装のチェック、そして明日からは照明づくり。
長い時間をスタジオで過ごしてきた後、少しずつ作品の輪郭がみえてくる
舞台でのこの数日間、待ち遠しくもあり、いよいよだと気が引き締まります!
佐東利穂子
「羅生門」稽古場より
勅使川原三郎版『羅生門』開幕まであと4日、リハーサルはいよいよ佳境に突入
します。ここでは名古屋で稽古を重ねていた勅使川原三郎と佐東利穂子、ゲスト
のアレクサンドル・リアブコの様子をお届けします。
来日後2週間の隔離生活の間に、オンラインでの稽古を重ねたアレクサンドル・
リアブコ。名古屋でリアルのリハーサルがスタートした時点では、すでに勅使川
原の求める動き、その創作について理解を深めていたそう。
ソロの動きから佐東とのデュエットへ──。「まるで長年仕事をともにしてきた仲間のような信頼関係が生まれている」と佐東が言うとおり、言葉を介さずとも、自然と息の合ったデュエットが立ち上がります。
創作の只中にいる勅使川原。芥川龍之介の『羅生門』を原作に、ダンスでこそ表現しうる『羅生門』を掘り下げています──。
稽古写真:photo by Akihito Abe
〈掲載情報〉朝日新聞
「羅生門」を朝日新聞 夕刊にてご紹介いただきました。
「足を止めていたら、その先の希望も絶望もない。ダンスとは視野を変えること。季節のうつろいを感じること、一歩踏み出すこと、一歩下がること、寝ること、起きること。こうしたすべての営みが、ダンスの源になる。表現者として、現在の困難から逃げず、良いものをつくっていきたいと思います」
全文はこちらから
▶︎むき出しの感情に人間の本質 勅使川原三郎、「羅生門」を踊る
〈掲載情報〉チャコットWEBマガジン
記者会見レポート
「羅生門」記者会見レポートがチャコットのWEBマガジンに掲載されました。
"サーシャは力んだり、境界線を引いたりすることなくすっと入ってきてくれて、
自然に作品づくりが始まっている。そのことがとても嬉しいです。"(佐東利穂子)
▶︎危機のさなかにうごめく鬼ーー勅使川原三郎新作ダンス『羅生門』記者会見レポート
photo by Naoshi Hatori
〈掲載情報〉読売新聞 勅使川原三郎インタビュー
読売新聞 夕刊に勅使川原三郎が「羅生門」構想を語った
インタビューが掲載されました。
「創作する時は、今を生きていて感じていることを、
舞台上に生き生きと表せる題材を選んでいます」
ぜひ、紙面でご一読ください。
▶︎ 鬼伝説に注目、勅使川原三郎の新作「羅生門」…芥川小説の先にあるものとは?
宮田まゆみ(笙 演奏) インタビュー
──勅使川原三郎版『羅生門』では笙の演奏で参加されます(愛知公演は
録音)が、勅使川原さんからのオファーを受けたときのお気持ちを聞かせてください。
宮田まゆみ 「羅生門」といえば、今回題材としている芥川龍之介の小説
とは内容は違うけれど、黒澤明監督の映画がありますね。音楽を早坂文雄さんが
作曲されていています。もうかなり昔のことですが、新交響楽団が定期演奏会で
この楽曲を取り上げた際に、笙を始めたばかりの私が、先生と一緒にステージで
演奏したのです。実はこれが私の初舞台でした。ピアノを学んだ私はアンサンブ
ルの経験があまりなく、指揮者に注目しなければいけないということがわからず、
最初から出遅れてしまいましたが(笑)。「羅生門」にはそんな思い出があります。
──具体的にはどんなリクエストがあったのですか。
宮田 最初は、「羅生門」の世界に笙がどう関わることができるのか、
よくわからなかったんですね。というのも、「羅生門」のどろどろとした世界と
比べて、笙の音はもっとこう、天上の世界の音、という印象がありますから。
──自分で言うのもなんですが(笑)、それで想像がつかずにいたのです。でも、
勅使川原さんにもっとお話を伺ってみると、そのものにぴったりと合う音楽では
なく、その反対側にあるものを音で表したいとおっしゃるのです。その動きや心
情にぴったりと合う音楽をもってくるだけでは、平面的で、膨らみがなくなって
しまう。そうではなく、正反対の性質のものを持ってくることで、何かそこで別
の空間を創ることができる──。確かにそうだな、と思いました。
──先に行われたリハーサルでは、古典の楽曲を演奏されていました。
宮田 笙を演奏する重要な部分は古典中心になるかと思います。
古典の曲は構成がとてもしっかりしているので、それに基づき、即興的な要素も
まじえながら演奏します。想定している古典曲は面白い点がたくさんあって、リ
ズムが五拍子なのですが、それが平坦ではなく、「2プラス3」と、揺れ動くリ
ズムなんです。ですが、全体の骨格がしっかりしているので、とても良い構成に
なると思いました。奈良から平安時代に演奏されていたものですが、もとは中国
で成立したものですから、実際はもっと古いものということになります。
──どんな曲を選ばれたのですか。
宮田 まだすべてが決まったわけではないのですが、リハーサルで
演奏した曲の一つに、「蘇莫者破(そまくしゃのは)」があります。勅使川原さん
にお話を伺って、最初に出てくる音はこういう音がいいな、と思ったのです。不協
和音のような音からはじまる五拍子で、勅使川原さんもいいとおっしゃってくださ
いました。他にも打楽器類──、たとえば鈴(りん)を使おうと思います。鏧(き
ん)とも呼ばれますね。お寺でお坊さんが使われるときは叩きますが、バチで擦る
と、この世ならぬ響きを感じさせる音を出すんです。
──その場その場で、様々な音を提案されていました。
宮田 勅使川原さんは作品を創る時、こういうふうに動こう、こういう形にしよう、ということではなく、その根底にある世界観をいちばん大事にされています。勅使川原さんと私との間で話すときは、そこにある世界観において、動きと音とがどのようにして一体になるかということが大事なのです。何かを創りたいと思ったときの精神性のようなものが共鳴し合う、いや、共鳴させてもらう感覚があります。
──ダンスとのコラボレーションについては、これまで数々の作品に取り組んでいらっしゃいます。
宮田 勅使川原さんについては、2016年に雅楽演奏グループ、伶楽舎の一員として武満徹さんの「秋庭歌一具」を演奏した際に、勅使川原さんと佐東利穂子さんがダンスを踊られたのが最初の共演でしたが、実は昔からダンスとは何かしら関わってきました。創作される方の方向性によって関わり方はずいぶんと変わってくるものですが、イリ・キリアンさんの『輝夜姫』で、石井眞木さんの音楽を演奏したことは素晴らしい経験でした。できることなら私もダンスをしたいのですが、その可能性は全くありません(笑)。たとえば、星の光がさしてきたとしたら、楽器で応えるのか、歌で応えるのか、身体の動きで応えるのか、いろいろな方法があるのだと思いますが、私は今のところ「楽器で応えている」というわけです。「ダンスで応える」ことにも憧れます。
──『調べ―笙とダンスによる』に継ぐコラボレーションの実現となります。
宮田 『調べ』の時は、混沌の世界から少し光が見えてきて、それが明るくひろがり、浄化してゆく──という全体の構成を伺っていました。強く共感しましたから、そこからは速く進みました。まさに抽象的な世界でしたが、今回はもっと具体的で人間的なものになると思います。これからどうなっていくかわらかないところはたくさんありますが、とても楽しみです。
(取材・文:加藤智子)
〈掲載情報〉Time Out Tokyo
佐東利穂子インタビュー
Time Out Tokyoにて、佐東利穂子のインタビューが掲載されました。
「文学作品を踊ること」を中心に、勅使川原三郎版『羅生門』の魅力を
アパラタスにて語りました。
「勅使川原さんの『羅生門』では、鬼を登場させるという構想があります。
芥川の作品にも、書かれていない部分をたくさん感じますよね。当時の社会状況
など、想像力が非常に掻き立てられ、鬼という存在もあり得るのではないかとか、
文章には書かれていない人物も存在したんじゃないかとか、今そうやって作品を
膨らませているところです。多くの人が読んだことのある作品だと思いますが、
また違う驚きのある作品になると思います」。
全文はこちらから
アレクサンドル・リアブコ インタビュー
──6月末に来日、2週間の隔離期間を経て、本格的なリハーサルを始められたところだそうですが、この2週間はどのように過ごされていましたか。
アレクサンドル・リアブコ 東京のアパートメントホテルに滞在したのですが、
最初は洗濯機がどこにあるのか、どうやって食べ物を調達したらよいのか、戸惑う
ことばかり。でも寂しいと思ったことはありませんでした。毎朝、3時間のエクサ
サズで気分転換をしていましたし、家族と電話する時間も持つことができました。
そして勅使川原さんとのオンラインでのリハーサルが始まりました。空間が限られ
ていますから、簡単なことではなかったのですが、勅使川原さんから様々なイメー
ジ、アイデアをインプットしていただき、そこからどう答えを見つけていくか、い
ろんなトライをすることができました。エネルギーを受け取ることもできました。
芥川龍之介の「羅生門」は既に読んでいましたが、勅使川原さんに紹介された彼の
それ以外の小説や、鬼に関する本を読みました。ハンブルクにいるときは日々の生
活に追われ、このようなまとまった時間を取ることは難しいけれど、この2週間は
建設的で豊かな時間だったといえます。
──芥川龍之介の「羅生門」については、どのような印象をお持ちですか。
リアブコ 短い小説ですが、とても深い世界だと感じました。私が読んだ英語
の本には芥川自身についての解説もあり、彼の自分との戦い、その内なる世界が、
「羅生門」にも反映されていると感じました。勅使川原さんとも、その内なる感
情を捉えながらイメージを作っていこうと話していました。今回はとくに、日本
の物語を日本の振付家で、日本でダンスにすることができる。本当に素晴らしい
チャレンジだと思います。
──勅使川原作品、またその振付については?
リアブコ 日本に来る前に、どこかのタイミングで実際にお会いしましょう
と言っていたのですが、実現しませんでした。その代わりに私ができることといっ
たら、勅使川原さんが踊る映像を見たり、他のカンパニーに振付けられた作品の映
像を見たりして、自分なりに想像することでした。オンラインでの初めてのリハー
サルでは、思った通りだったこともあったけれど、違っていたこともたくさんあり
ました。具体的なステップがあり、そこから始まるのかと思っていたのですが、そ
うではなかった! 何か心の落ち着くところを見つけて、自分でコントロールしな
がら内側から外側に導いていく、というアプローチは、今まで経験がなかったので
とても新鮮でした。
──バレエダンサーとして様々な振付家と仕事をされていると思います。
リアブコ 私自身はキエフ時代から始めたクラシックを背景に持ち、これまで数多
くの振付家の作品を踊ってきました。どんな作品でも、自分の内側から湧き上がる
ものがあるからこそ形になるわけですが、それはすぐにできることではなく、時間
をかけて滲み出てくるものだと思います。
今回の勅使川原さんのプロセスはとてもエキサイティング。なぜなら、まだわから
ないことだらけだから! 不確かなことを信じて突き進めることは恐怖でもありま
すが、勅使川原さんのガイダンスによって、たまにコントロールすることをやめた
り考えないようにしたりして、ありのままに流れにのっていくことも必要。迷子に
なるような感覚もあるけれど、それも、彼のアプローチの方法の一つだと思いま
す。これがどう進化していくかはわかりませんが、ただ、止まらずにどんどん動い
て、変化していくことです。
「羅生門」稽古より
──リアルでの稽古はまだ始まったばかりですが、佐東さんとのリハーサルでは、まるで長年一緒に踊ってきたダンサー同士のような自然なデュエットが展開され、驚きました。
リアブコ それは嬉しい! まだお互いに知ろうとしている最中でした。
ひとことでいうなら、信頼関係だと思います。私は勅使川原さんのことを知らな
い、利穂子さんも私のことをあまり知らない。だからこそ、信頼してオープンに
なる。私が言えるのは、自分をなくして何にでもなろうということ。白紙になる
ような気持ちで向かっていました。
ハンブルクでは多くの振付家と仕事をするので、毎回、そうしたフレッシュな気
持ちで向き合わなければなりません。その点では、これまでの経験が活きたと思
います。本能的にお互いを知ろうと、エネルギーを交換していこうと取り組んだ
ので、それが自然に見えたのならとても嬉しいこと。正しい方向に向かっている
証拠です。
──今回は東京、名古屋での2都市での新作上演となります。
リアブコ 『羅生門』は、愛知県芸術劇場の芸術監督である勅使川原さんがプロデュースされた、本当にエキサイティングな公演です。この愛知の劇場には、以前にもハンブルク・バレエ団のツアーはガラ公演で来たことがあります。ただし今までと違うのは、既存の作品を踊るのではなく、この地で新作を創って、日本のお客さまに観ていただくという特別な機会であるということ。東京のみならず、名古屋でも同じ経験ができるのは素晴らしいことだと思います。
ハンブルクでは、芸術監督のジョン・ノイマイヤーが新作を創り続け、地元のお客さんのために公演を重ねています。それを繰り返すことによって、地元の客さんが新作に期待をしてくださるようになり、文化が培われていくということを経験しています。簡単に理解できるものではないかもしれませんが、1回観て、2回観て、もう1回観に行こうということにもなる。日本の有名な題材にした『羅生門』も、日本のお客さんに何度も観ていただけるようになればいいと思っています。
日本にはクラシック・バレエのファンが多いことも知っています。もちろんその伝統と歴史は素晴らしいけれど、新作には、いままで観たことのない素晴らしさがある。コロナ禍の中の、マスクを付けたり行動が制限されたりするときだからこそ、心を満たしてくれるものが大切です。ぜひ皆さんに経験していただきたいと思います。
(取材・文:加藤智子)
「羅生門」記者会見レポート
勅使川原三郎版『羅生門』開幕まで残すところ約3週間となった7月15日、
愛知県芸術劇場のスタジオでの本格的なリハーサル開始に合わせ、同劇場
にて愛知・東京合同記者会見が開催され、勅使川原と佐東利穂子、ゲスト
ダンサーのアレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団プリンシパ
ル)が意気込みを語りました。
最初にマイクを渡され、「最初の計画を変えざるを得ない状況がありましたが、
いま、リハーサルの真っ最中です」と語り始めた勅使川原。劇場は、勅使川原
が愛知県芸術劇場芸術監督として様々なプロジェクトを進める中で、当初、新
作を海外で上演したのち、日本で初演する計画があったと説明、新型コロナウ
イルス感染拡大の影響で海外公演は断念せざるを得なくなったが、東京芸術劇
場および愛知県芸術劇場にて、海外からのゲストを含めての初演を実現させ、
その後の海外での再演の可能性を探ることになったことも明かされました。
その新作の題材として選んだ芥川龍之介の「羅生門」について、勅使川原は
「芥川が書いていることはとても神話的だと思いました。現代の私たちが神
話を読むとき、それは単に古い説話ではなく、その時代時代に生きた人間の
核心を受け取るものだと思います。羅生門という場所には、鬼が棲むという
伝説があり、死人と、死にそうな人間が放置されている悲惨な場所でありま
す。その時代背景は、私たちが生きている時代を思い起こさせます。歴史上、
人間は、常に裏切り、騙し合い、争い、戦いを繰り返してきた。にもかかわ
らず、人間は悲惨な状況からより良い生の意味を求め続けた。なぜなら悲劇
そのものが持つ力は、醜さを超え、新たな展望を予感させるからだろうと私
は考えます」と、熱い思いを明かします。
「羅生門」稽古より
出演者の一人、アレクサンドル・リアブコは、勅使川原が様々にリサーチを
重ね、「この人だ、とすぐにわかりました」とオファーし、今回の出演が実
現。6月末に来日、東京での2週間の隔離生活を終えて、会見前日に名古屋
入りしたばかりです。「リハーサルは隔離期間中に始まりました。勅使川原
さんとのオンラインでのリハーサルは、まさに新しい経験」というリアブコ。
「このように身体の動きを意識する経験は、いままでなかったこと。その中
で勅使川原さんは次々とビビッドなイメージを与えてくれたので、とても興
味深くプロセスを進めていくことができました。これからどういう形で作品
が創られ、劇場に持っていくことになるのか、とても楽しみにしています」。
「羅生門」稽古より
また、「改めてこのように勅使川原さんの考えを聞いて、さらなる喜びを感じ
ている」と感慨深げに話すのは、アーティスティックコラボレーターの佐東。
リアブコの参加について、「全く面識がないのに、この状況下でなぜ受けてく
れたのだろうと思っていましたが、メールやオンラインの稽古をする中での真
摯な姿勢に触れて納得しました。まるで長年仕事をともにしてきた仲間のよう
な信頼関係が生まれていることを、とても嬉しく思います」
佐東とリアブコについて、「二人には共通性を感じる。謙虚であるとともに、
内面的にも、身体的にもとても強いものを持っている。それこそが、何かを
表現するのに必要とされていること」と話す勅使川原。作品について、こう
も付け加えました。「この短編を読んだとき、物語の始まりの前には、書か
れていないことがあるだろうと強く感じました。そして終わりにも、その後
に書かれていないことがあるのではないかと想像しました。書かれた物語の
先に何かがあるかもしれないと感じることによって、ダンスの終わりが始ま
る──そんな気がしています。そこには、なぜダンスをするのかという問いか
けの答えがあるとも想像し、考察します。この創作に、おおいに期待してい
ます」。
「羅生門」稽古より
今回の会見はオンラインでも実施され、東京からも多くの記者、評論家の方々
が参加、2都市での大掛かりな新作プロジェクトとして注目されています。
東京公演は、8月6日(金)、7日(土)、8日(日)東京芸術劇場にて、愛知
公演は8月11日(水)愛知県芸術劇場公演にて。どうぞご期待ください。
「羅生門」ぶらあぼ8月号
ぶらあぼONLINEにて、「羅生門」についてご紹介いただきました。
執筆は小沼純一氏です。東京芸術劇場での初演では、宮田まゆみさんの
笙の生演奏にて上演します。ぜひ、ご一読ください。
▶︎ぶらあぼONLINE 勅使川原三郎「羅生門」芥川の文体をダンスで表す
アレクサンドル・リアブコが捉えた、「羅生門」
芥川龍之介『羅生門』をダンスで表現する取り組みについて、バレエ界屈指の表現者として知られるリアブコが、リアル稽古開始直前の思いを語ってくれました。
オンライン・リハーサル中のリアブコ(撮影:佐東利穂子)
「羅生門」の物語は日本ではとても有名ですが、私はこれまで映画の「羅生門」しか知りませんでした。ですので、日本に来る前に芥川の短編集を買いました。
本を読んで、究極の明解さや内なるパワーを持つひとつの像や状況を、ほんのわずかな言葉で創造できる芥川の能力に魅了されました。彼の小説を日本語で読めたらどんなに素晴らしいかと思いましたが、翻訳でも彼の物語は幻想と詩情と想像力に満ちています。
芥川のこの驚くべき芸術作品を動きやダンスに変容させることができるのは、大きな挑戦です。しかし、勅使川原三郎さんの素晴らしい創造的アプローチ、創意工夫の才、感受性、独創性をもってすれば、私たちは芥川に触発された世界を見せ、創造する道を見つけることができるでしょう。
アレクサンドル・リアブコ
アレクサンドル・リアブコが語る、
振付家・勅使川原三郎
本格的なリハーサル開始まであと少し──。来日後、隔離生活を続けるアレクサンドル・リアブコは、自主レッスンとオンライン・リハーサルの日々。勅使川原とのリアルでの稽古の開始が待ちきれない様子です。勅使川原とのリアルな対面を楽しみにしている彼から、こんなコメントが届きました
勅使川原とリアブコのオンライン・リハーサルより(撮影:佐東利穂子)
勅使川原三郎さんにはまだ直には会えていないので、待ち焦がれているところです! スカイプでは何度か顔を合わせたのですが、ダンス、動き、役やキャラクターを解釈・定義する異なる面について、非常に興味深く刺激に満ちた話し合いをすることができました。
勅使川原さんとはこれまで一度も仕事をしたことがないので、今回が初の、ワクワクする初演になります。
これまでのところ、彼自身が踊っているいくつかのビデオをオンラインで見ることしかできていないのですが、彼の驚異的なボディ・コントロールと創造性、彼の身体を通して生まれる、浮遊し、流れる驚くべき動きのフィーリング、忘れ難いイメージの創造、あふれんばかりの詩情に魅了されています。
これまで私たちは一度も一緒に仕事をするチャンスがなかったので、彼が思い描く像を自分が体現することができるのか、とても不安でしたし、今もそうです。
新しい役を発見し創りあげるというチャレンジと可能性を思うと、身体中が興奮でいっぱいになります。これは私にとって全く新しいものになるでしょう。早くこの旅を始めて羅生門の世界に飛び込みたい。そしてこの旅が私たちをいかなる場所につれていくのか、それを見るのが待ちきれません。
アレクサンドル・リアブコ
アレクサンドル・リアブコからのメッセージ
勅使川原三郎版「羅生門」のために来日、2週間の隔離期間中のアレクサンドル・リアブコからのメッセージが届きました。隔離期間は残すところあと数日、いよいよ、本格的なリハーサルが始まります。
リアブコは今、勅使川原、佐東とオンラインでリハーサルを重ねています。(撮影:佐東利穂子)
親愛なる日本の皆さん、
私たちの世界は、私たち全員に影響を与えた世界的なパンデミックから今なお
回復の途上にあります。距離を取り、接触を避けるために、長い間私達は文化
的なふれあいをがまんしてきました。だからこそ私は、勅使川原三郎の新作
「羅生門」が8月に日本で初演されることをとても嬉しく思います。
この素晴らしいプロジェクトに参加できることにとても興奮しており、それを
舞台にのせて皆さんのために生で上演できることを本当に楽しみにしています。
劇場は、私たちが夢を見て、日常の悩みや心配事を忘れることができる場所で
す。ですから、私たちの時間を共有し、思いと感動と夢を互いにやり取りでき
ることを楽しみにしています。
たくさんの愛を込めて、
アレクサンドル・リアブコ
アレクサンドル・リアブコが来日
昨日、勅使川原三郎版「羅生門」に出演するために、ハンブルクから
アレクサンドル・リアブコが到着しました。コロナ禍の中での来日、
これから2週間の隔離生活が始まります。その期間中も、勅使川原の
ダンスメソッドへの理解を深めるためにZoomでもレッスンを予定。
作品は、すでに動き始めています。